最近読んだ本3 「うたかた/サンクチュアリ」 /吉本ばなな 正直なところ、読み終わったあとの感想は結局ストーリーってなんだったんだろうということ。こういうストーリーだよと説明しづらい。不思議なふわっとした終わり方をするものだから、ここで終わったのかどうかよくわからないような余韻が残る。文体の相性がすごくよかった。こういう音は好き。 作中に鳥海人魚って女の子が出てくるのですが、「娘が地上の万物に愛されるように、って、鳥も海も人も魚も名前に入れちゃったの」というあたりがすごく好きなくだりでした。この作品は、なんというかふとしたときに胸に広がる不思議な波紋が好き。 だけどストーリーが好きかと聞かれれば、正直うーんという感じでもある。音と余韻を楽しむ作品って感じかなというイメージです。 「レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士」 / 栗原ちひろ 栗原先生の作品はどうにも体言止めを使うときのタイミングが私と合わないらしく、なんかブツ切れしているようなイメージが私の中に残る。たぶん栗原先生も悪くないし、私も悪くない。純粋に体言止めを使うタイミングの相性が合わないだけ。 レプリカ・ガーデン一作目についてはちょっと厳しめな感想を書いてしまったけれども、二作目はとても面白かったです。本の虫、図書館寄生虫のお嬢様クリステルとその従者ヴィリ、そして墓守のルカ。出てくる登場人物の信じる美学が好き。ところどころはっとさせられるような台詞回しに、彼らが何を大事だと思っているかが出てきているような気がする。 一作目で出てきたアーセル(私が好きだったキャラ)が再び登場したのも嬉しかった。二作目のルカのぎらぎらした格好良さとは違う良さがあると思うんだ、アーセルには。 実はこの図書館にはちょっとしたトリックがありまして、こういうからくりは私も一度使ってみたいなあと思った。本当勉強になった一冊です。栗原先生ありがとう。 PR
罪と罰(下) 「罪と罰(下)」 / ドストエフスキー ドストエフスキーは全作読みたい作家さんの一人なのですが、いかんせんロシアの名前に親しみがないため読みづらくてまだ罪と罰しか手をつけてないという。再読しました。まだきちんと読めてる自信はありませんが、一度目よりはややしっくりきている感じ。 予期せぬ第二の罪を犯したラスコーリニコフが罪悪感に怯えたり良心の呵責に悩んだりする様子が書かれている一冊。くどいまでに「こいつ、狂ってやがる」とラスコーリニコフを生ぬるい目で見るしかない。頭の回転が早過ぎるがゆえにイッちゃったタイプだなと思いました。個人的に好きなのはソーニャとポルフィーリイ。ソーニャぐらい犠牲の精神と善良さにあふれた人が多かったらさぞかし日本は平和だろう。ポルフィーリイも「へ! へ!」って笑い方さえなければ格好いい人物だと思う。 なんというか癇癪持ちのドストエフスキーが書いただけあって、うまく言えないのですがヒステリーな登場人物が多いなと感じました。作家さんの精神状態って絶対本に影響するもんだよね。 ラスコーリニコフには好感がもてる。自分が殺した理由に後付けでもっともらしい理由はつけずに、「自分のために殺したんだ。僕にいちばん必要なのは金ではなかった。金ではなく、他のものだった」というソーニャへの懺悔のシーンでは、彼の気持ちがよくわかってうんうん頷いてた。金じゃあなかったよね、だけど“他のもの”がなんなのか君にも私にも言葉にできないんだよね。あれだよね、あれなんだ。のような暗黙の了解。名誉とも違うし、証明とも違う、勇気でもない。でも何かラスコーリニコフはその殺しで手に入る感情があることを知っていた。第二の殺人がなければ彼は自首をしなかったかもしれない。 有名なシーンではあるんですが、罪と罰で一番好きなシーンと言ったら大地に彼がキスをするシーンです。それから続く、一年後にソーニャの膝に手を置いて泣くシーンも好き。 私、この話読むといつも「罪」はなんとなく把握するとして、「罰」ってなんだろうなって考えるんですよね。そりゃ最後は流刑にされるわけだけれども、誰も彼のことを裁いてないじゃない? と思うわけです。罪悪感と良心の呵責が罰だったなんて、そんな単純なものでもない気がするし。 なんとなく思うのは、罪を犯すことによって自分が世界にひとりぼっちになったような、そんな錯覚が罰なのかなって気分。ポルフィーリイが「自分から自首してきますよ」って言ったところにすべて集約されている気がする。 大地にキスして神に許しを請うのは、暴走した頭脳だけの世界から人間らしさに回帰するみたいな意味があるのかなーなんて、そんなことを素人の私は考えるました。ドストエフスキーの解釈とか、たぶん文学科出身の人だと詳しいのでしょうけれども、私はちょっといまいちでして(汗) あと一回くらい再読したいところだけれども、その前に本屋でカラマーゾフの兄弟を買ってこんといかんです。色々読んだあとに罪と罰を再読すると、もうちょっと違う感想が出てくるかも。
最近読んだ本2 「ラブリー・ボーン」/アリス・シーボルト 正直一回読んだだけじゃあしっかり理解してない自信がある。 娘が殺されて、父親が復讐の鬼になって犯人を追うなんていうのはお話の中だけ……そんなお話な気がする。悲しいはずなのにあたたかい、あたたかいはずなのに現実ってこんなだよねって感じ。 だけどこういう話があってもいいなと思う。むしろ、こういう作品かけたらなって思っていた作品が目の前にあったって感じだった。もう一度くらい読みたい。 「されど罪人は竜と踊る」/浅井ラボ 世界観はとてつもなく好みなのに、文章が肌に合わないらしく何回か挫折しかけた。だけどオトナ買いしちゃってるから根性で読む! と読み進める。 悪役でなくまっとうな人が死んでいく世界。枢機卿がこの悪党が! と思いながらもすごく好みだった。悪党って残忍で人をばっさばっさ殺していくのとは違うと思うんだ。何かの信念のために何を犠牲にするのも厭わないって感じだと思う。ここまで格好いい悪党だったらしてやられた! と思うことがあってもいい、そう感じてしまった。 「レプリカ・ガーデン」/栗原ちひろ 正直、最初はちょっと苦手な世界観だった。というか途中まで、何がよくてフォルトナートを好きなのかも、ぜんぜんわからずに感情移入できないまま進んでいった。人形のイファの気持ちはわからないまま、周囲の人間の気持ちだけがよくわかる。そういう世界観なのかな? というのが最後の気持ちの落とし所。人形の気持ちは人間には理解できないけれども、人形は人形の理論で動き、人間は人間の理論で動く。人形が人間に恋をしたとき人間になり、それは時には悲しい運命も生み出す。 読後感はやっぱり「ん?」と思うところもあったけれども、きれいな世界観だなと思った。
うーん なんか最近、調子が悪くてまた栄養ドリンクさんと仲直りしました。 養命酒だけではどうにもならないんだもの。早く元気になりたい。 そんなわけで、今日読んだ本の感想。 「たのしいムーミン一家」/トーベ・ヤンソン 小学生の頃嫌いだったムーミン。でもツイッターのムーミンぼっとの台詞は好きで、もう一度トライしてみようと思ったのだけれども。結論から言うならば、こいつら言葉を自重しなさすぎで私は好きになれんというやつです。そりゃ児童文学だから台詞を遠慮する必要もないんだろうけれども、ムーミンが帽子で化物に変身したときに「お前ほど醜い奴見たことない」とかひどくないですか? 正直、スナフキン以外で好きになれそうなキャラクターがいません。 だけどやたら引力は強くて読み込ませる力はあるんだよなあ。 好みではないけれども「おかしいだろ!」と言いながら最後まで読んじゃう感じ。不思議な魔力を感じる一冊でした。 「ランジーン・コード」/大泉貴 こっちのほうは先に読書メーターのレビュー見ていて、いまいち評価がいいものがなかったのでちょっとびくびくしながら読みました。だけど、実はとても面白かった。 設定がすごく作りこまれているけれども、ストーリーが面白くないとレビューには多かったのだけれども、私はすごくこの世界観もストーリーも好きだったりする。いいなあ、こういうお話を書けるのって羨ましい。主人公のロゴがとても好きです。成美も、由沙美も、出てくるキャラクタたちはみんなそれぞれの物語をもっていて愛おしいなと思った。 惜しむらくは読みづらいこと。文体が、というよりは、ストーリー自体が込みいっていて、あれ? これはなんだっけ? これは? と何度か詰まってしまった。だけどもう一度読んでみたいな……と思わせてくれるような話だったので、読み直しはそんなに苦じゃあない。 一見文句が多いような書き方しているけれども、注文が多くなるのはそれだけ自分にフィットした作品のときだったりする。 しっかり世界観がなじむまで、あと二回くらいしっかり読み直したいなあと思っている。久しぶりに私の中で大ヒットだった。
最近読んだ本 簡易ですが、感想をば。 「モモ」/ミヒャエル・エンデ 時間泥棒と時間を取り戻した女の子の話。あまりに有名なのに実際に読んだことはなくて、読んでみようと思って図書館から借りてきた。 説教くさいわけでもなく、大事なことが書かれていた気がします。時間の大切さだけではなく、人との関わりかたや何を大切にしているかとか、子供の頃に読んでおけばよかったなあと今頃になって思ったり。 何度か読み返してやっと真理のひとつふたつが理解できるかな? くらい本当は奥が深いのだろう。少なくとも私は一度読んだだけですべて理解できたとは思っていない。 関係ないけれども途中に出てきた人形のビビガールがめちゃくちゃ怖かったのは何故だろう。なんか物欲と消費だけを増大させそうなあの雰囲気がめちゃくちゃ怖かった。 「アーモンド入りチョコレートのワルツ」/森絵都 森絵都さんの話は初めて読みます。タイトルとピアノ曲をモチーフにした話というのが気にいって購入しました。 最初の話に出てきた章くんが実はすごく好き。いばりんぼで、命令ばかりして、友達からは陰口を叩かれて。だけどやさしさは忘れない、そんなところがすごく好きだった。 全体的に主人公には感情移入ができず、かわりに問題児のほうに感情移入してしまい、そのせいか好みな世界観のはずなのにすっごく好みだったとは言いづらかった。 「アーモンド入りチョコレートのワルツのように生きなさい」というサティのおじさんの一言はすごく好き。音楽と自由を愛する人のフレーズだなあと思った。 「ホテル・アイリス」/小川洋子 エロいエロいと思いながら読んでいたら、最後に「怖い」に感想が変わった。 マゾ心をくすぐる老人翻訳家の命令口調。アブノーマルなプレイ。そうして主人公の少女のじめっとした感情とか、嫌というほど私のマゾ心を満足させてくれる一冊だったのですが……それにしても最後にマリーという少女についての翻訳を探してもらったときの、あの短い一文がめちゃくちゃ怖かった。 本で読む分には多少倒錯しているほうがいいけれども、実際にこんなじいさんに近寄られようもんならば私は裸足で逃げ出します。通ったりしません。主人公のマリはどう考えたっておかしい!