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Tiny tales(青)

セットで配布されたタイニィの別冊のほうです。
はりきって感想書きます。

「黄昏橙」 / takaoさん
黒田! 黒田が格好いい!! 橙子も可愛いんだけれども、ともかく黒田がオトコ前。いいわー、こういう男の子に中学時代に告白されるって、怖くもあり、素敵な経験ですよね。夏の空気とか、黄昏に沈んでいく陰った色とか、汗のにおいとか、体温とか、色々伝わってきそうな感じがすごく好きな作品でした。
青春作品ゴチであります。

「凍む国の皇子、獣者の仔」 / スイさん
な、泣くかと思いました。ぜひ長編で読んでみたい作品。SSを読んだとは思えない満足感。胸がいっぱいになります。はなは捨て子なのに健気だな。普通もっとやさぐれそうな気がするのに、こんな扱いばかりうけていったら獣の子に心までなってしまいそうなのに。
「心のやさしい、おまえは俺の子だよ」という東雲の言葉に鼻がつまりそうになりました。はなといっしょに泣くかって気がしました。本当ありがとうございます、こんないい作品に出会えて幸せであります。

「妖狐ノ怪」 / 白馬黎さん
文語で書いてあるから日本語音痴の私に読めるかしら? とちょっとびびりつつ読んだのですが、物語にのめりこんでからは文語であるかどうかは気にならなくなりました。妻と子を愛してしまったがゆえに、樵を殺して夫になりかわる妖狐。正直それがいいのか悪いのかはわからないけれども、本当にピュアな妖狐だなと思った。だから間違ったことをしたり偉そうだったりするのになぜか鼻につかないんですよね。妖怪に生まれなければまた違う人生があったかもしれないよね、と思えるような嫌いになれないタイプの妖狐のお話でした。

「はつ恋」 / 冴島芯さん
実はこれ、本編あるのかしらと前のめりになるくらい気になったお話。陰謀やら友情やら、色々な片鱗を見え隠れさせながらも短編でさくっとまとめてある。本編ないってことはないだろうなあと思いつつも、とりあえず国王の性格が格好いい。まさに獣のような男。ミシェーラも運命を受け入れつつ、賢く立ち回ろうとしている様が格好いいなあと思った。騎士になった王女のアンジェリカ様も健気だ。このお話、絶対に好きになれることうけあいなしだと思ったのでもし本編があるならば教えていただきたくそうろう。

「ひきょうもの」 / 桜庭春人さん
あるんですよね! アルフレッドみたいに不味い料理しか出さない喫茶店って本当に。それ以外の雰囲気はごっつういい感じなのにとても残念なアップルパイの味が想像できます。
修二くんに何度「頂いちまえよ」と悪魔の囁きをしたかわからぬ私ですが、全然卑怯でもなんでもない修二くんはちゃんと彼女を勇気付けて送りだしました。チャンスだったのに、そのチャンスを逃しちゃう修二くんはお人好しといよりも誠実な男の子なんだろうなと思います。
ケータと御栗も、修二くんもいつか別の誰かと幸せになってくれればいいなあと思います。
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Tiny tales(赤)

桐原さくもさんところで無料配布していた同人誌。
あやとりうたの宣伝のために各作家さんを知ってもらう目的だったかだと思うのですが、無料配布したの? ええええ!? と思ってしまうようなクオリティにびっくりであります。
そんなわけで、ひとつずつ一言感想を添えようかと。

「さくらの夢、涙のしずく」 / 青柳朔さん
これ読んでる最中に「泣くことは、弱さなのか」という有仁の言葉がぐるぐるしてたんですよね。泣くことを忘れてしまった有仁、泣くことをやめたいのに辛くて泣く白妙。「気持ちをかくしてしまうことは、つらいことだわ」と白妙が言うシーンでそうだそうだといっしょになって頷く私。でも有仁の気持ちもわからなくもない、始終泣く人が近くにいたりすると逆に泣けなくなったり煩わしく感じたりするもの。
涙を流すってどういうことだろうな。読んだあとにぼんやりそんなことを考えていました。

「忘れえぬ こひとしりてか」 / きくさん
描写の字の温度が抜群に心地いいなというのが第一印象。すごく相性のいい文章だった。お手本にしようかなと思ったくらいです。
場面としてはほとんど展開しないし、台詞もほとんど入っていないはずの文章なのになんでこんなに心が打たれるんでしょうね。凡人である幼なじみの許嫁、才媛の主人公。こういっちゃ不謹慎なのかもしれないけれども、名前も出てこない凡庸な幼なじみの少年が少し羨ましくもありました。一生のうちに可哀想と思ってくれる人はいたとしても、これだけ愛してくれる人が家族以外に、十代という若さで出会えたことが羨ましく感じた。それ以上に過酷な運命があるため、幸せとは言えないかもしれないけれども、久子が少年を愛してくれてよかったと感じました。それに対して少年が臆病な態度をとったとしてもね。素敵なお話でした。

「ご主人様のいうとおり!」 / 詠城カンナさん
自分のことをご主人様、父親のことを旦那様と呼べという第一のお願い。第二のお願いで「旦那様の望む服を着てほしい」これはちょっと邪な思考の持ち主としてはR指定な展開を期待せずにはいられませんな! いえ、本当はそんなお話ではありませんが。
ルカはツンデレって一言で表現するのもちょっと違う気がするんですが、愛情表現の仕方が屈折しているんですよね。「ありがとうございます」って言わなくてもいい状況を作ってあげるところとか、とても親切だと思うのだけれども。エレナがルカの優しさに気づくのはいつになるのかな? とちょっと話の続きがきになるのでありました。

「冬枯れの王と春の魔女」 / 東堂燦さん
思えば思うほど遠くへ行ってしまう愛しい恋しいあなた……。私がこう書くと陳腐ですね(汗) 東堂燦さん、どうしてこう胸を抉るようなストーリーを毎回書けるのでしょうか。
「嫌いっ、……嫌い、春なんて」
って台詞のあたりに彼女の感情慟哭すべてがこもってる気がして、本当に一年のうち一瞬しか会えないカップルなのだわと思って切なくもなり、死してなおも語り継がれる伝説のカップルと考えると熱いなあとも思いました。

「花の与力」 / らんぷさん
冒頭のスタートから中盤の流れを読んでる最中に、場違いにも「これ、ショートショートで終わるのかしら?」と思ってしまいました。が、さすがそこは作者の腕の見せ所、オチの部分で前半の謎が解け、かつ与力の恐ろしさまでわかって。こういうワンシーンだけ切り取って魅せる方法って私は得意ではないので、参考にしなきゃなあと思いました。
個人的にはこの与力さんの腹黒さが私はけっこう好きです。だけど綱吉の時代にこれをやってのけたとしたら鬼だな……と思わなくもない(笑)

藍間真珠さん、「時雨組シリーズ 五の組」

時雨組シリーズ
http://indigo.opal.ne.jp/novel/sigure/index.html

藍間真珠さんのサイト
http://indigo.opal.ne.jp/index.html

あらすじ
琴は相棒を流行病で失ったばかりだった。女好きでクセのあるお頭が琴の新しい相棒に選んだのは、あんなに嫌だと言っておいたはずの男!?


感想

まず同人誌の扱いをどうしようか悩んだのですが、アドレスがわかるものは貼りつけちゃってよいでしょうか?
アウトー! という方がいましたらご連絡お願いします。
時雨組シリーズの本編のほうは読んでないのですが、同人誌のほうでメインに扱われてるのは「五の組」琴と竜の二人組と、偶然お世話することになった千鳥ちゃん。
「真珠さんのお話初心者には何が向きますか?」と真珠さんに聞いてみて、勧められたのがこの一冊。擬似親子大好物ですよ。うほほーい。
そんなわけで、喜び勇み足で読みました。

水波立つは風故に
雨の後には銀踊る
藍の縁もて花咲きて
祭りの夜に蛍飛び

まずタイトルがすごく綺麗だなっていつもため息が出ます。こんな綺麗な日本語使いになれたらどんなによかったことか。
真珠さんの作品は本当不思議。晴れた日に読むのと雨の日に読むのと憂鬱な日に読むのじゃ全然違う気持ちになるんです。
晴れた日に時雨組を読むと千鳥の明るさが「千鳥ちゃん可愛いなあきゅんきゅん!」ってなるし、雨の日に読むと情景描写をがっつり読んでしまってその風景に溶け込みそうになったり、憂鬱な日に読むと晴れた日に読んで可愛いと思った千鳥ちゃんが我侭に見えてイライラしたりとかも! そしてなんか時雨組の普段のストーリーの裏に陰謀のサスペンスストーリーがあるんだわなんていうもくもくとたくましい空想が育ったりするわけですね。
まさに天気のようなお話だなという感じです。
不思議な魅力をもった真珠ストーリー。次は……ファラールかもしそばに手をつけるんだい。