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ミツキサナ様、「雨の記憶」感想

ミツキサナ様、今回は小説のご依頼ありがとうございます。久しぶりの依頼でわくてかしながら読ませていただきました。

ミツキサナ様のページ
http://no-ichigo.jp/profile/show/member_id/235886?

「雨の記憶」のページ

第1部 http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/394073
第2部 http://no-ichigo.jp/read/book/book_id/520756


あらすじ

優しかった兄はある日を境に変貌してしまった。雨の日に起きた父と母の大喧嘩、その日からアキの心にはどしゃぶりの雨が降り続けている。
兄が変わってしまった理由、そして兄の気持ちとは――


感想

近親相姦ものは嫌いじゃあないのですが、だいたい
この気持ちを知られてはいけない→やっぱり好きだー!→結ばれる。ひしっ
みたいな展開が多いため、自分から進んで読もうというジャンルではないのですが、読み始めてみたらぐいぐい引きこまれて終わったときには
「え? もう終わっちゃうの」というぎっちり満足感のある内容でした。
まず文章の地の文がとても好みです。シンプルだけど説明不足があるわけでもなく、情景描写もとても上手だなあと思いました。携帯小説サイトですが、文章の粗雑さがなく丁寧に書かれたものだったのでとても読みやすかったです。

さて、中身の感想のほうですが……
賢い子供というのは不幸だなあと思いました。頭のスペックに心が追いついていないものだから、頭で理解できる内容を大人のように冷静な気持ちで判断できないんですよね。いっぱいいっぱいになっちゃって、精一杯ベストな判断をしようとするけれどもそれは大人から見たら「無理しなくていいよ」と思うような内容で。
この小説の視点からだと、お父さんもお母さんも悪く書かれているけれども、でもきっとお父さんにはお父さんの代で傷ついた理由があって、お母さんもお父さんと結婚するときは幸せになれると確信していて、ストーリー中にも出てきましたけれども傷ついた過去があって、とあったんだと思います。
アキは自分が不幸だってこと以上に人の気持ちがわかっちゃうから自分に問題があるわけじゃあないのに自分を責めちゃうんですね。あまりご両親に恵まれたとは言えませんが、それでも最後には彼女が自分の道を選択する決心がついてよかったと思います。
レンはレンでつらかったんだろうなと思います。アキに気持ちが伝えられなかったのもそうですが、アキだけが傷ついていたわけじゃあないよね。こういうのは、当事者だけでなくみんな傷ついてるんだよなあと感じます。そういうところも全部書かれていて、ミツキさんが彼らの成長を親のようなあたたかい視線で見ているように感じました。
兄と妹の恋愛というのは法律上は禁止されていて、実際法律を愛が超えたとしても色々問題が山積みだったりするものではあるのですが、結ばれるとか、ハッピーエンドとかでなく、本当の意味で彼らが幸せを掴むための道のりが長かったことに、そして彼らが大人に成長したということに、とても安堵を覚えて、読んだあとにはなんだかやさしい気持ちになれました。

面白い読み物をありがとうございます。
とても楽しく読ませていただきました! またのご依頼お待ちしております。
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有沢翔治さん、「盗撮魔」

「盗撮魔」のURL
http://www5b.biglobe.ne.jp/~detect/suiri/suiri24.html

あらすじ
萌はある日、大学の図書室で不審な行動をしている少女を発見する。
彼女が興味を持っていた本は「ピンホールカメラの作り方」
部屋を盗撮された彼女を付け狙っていたのは誰なのか、ちょっと不適応気味の探偵が勝負に挑む。


感想

感想を書くのが難しいなあ……と思いました。
もしかしなくてもこれは(作中の)有沢くんのための物語って感じがしたので、有沢さん(作者さん)がどのくらい有沢くん(有沢くんと書くときは作中の登場人物のことを指すとします)のことを考えたり入れ込んだりしているかによっては的外れなことは言いたくないな……のような。そんな前置き。
有沢くんは悪を裁くための名探偵ではなく、なんというか罪を犯した人になったつもりで考えているのかな? なんて思いました。彼の視線は「不思議」や「謎」を解くというスリリングさに向いているのではなく、どうやったらこの事件が「解決」するのかというところに視点を向けているような気がする。だから有沢くんは誰かを裁くことはしないんじゃあないかな? なんて勝手に思いました。
神経の細さとストレスの弱さは私も有沢くんと似たようなもんだと思うのですが、非常に好感の持てる青年だなという感じ。物語のあらすじを書けば、たしかにピンホールカメラを追い続ける内容なのですが、ところどころ出てくる名探偵有沢くんのシーンだけ、退色した世界に色味が指すような気がしました。そのせいか、私は有沢くんのための物語なんだなと思ったんです。
逆を言っちゃえば、他のキャラが薄くて誰が誰なんだか、萌ちゃんと有沢くん以外はよくわからなかったという難点もあるのですが(冒頭の登場人物紹介には助けられました)有沢くんのための舞台であり、物語であり、彼の語りたいことや生き方を表すためにこの世界が必要なのだとしたら、それは有沢くんにとっても、そしてこの物語を読めた私にとっても幸せなことだと思うのです。

最後の台詞や、そこに行き着く真相や過程、そういったものが、ミステリーとしてというよりも、有沢くんや有沢さんの信じているものをあぶり出すための道筋なんじゃあないかな? などと、思った次第です。
とても面白かったです。有沢くんの活躍を他にも見てみたいなと思いました。

空也いつきさん、「石蛍」

空也いつきさんのサイト
http://wyrdred.com/

石蛍のページ
http://wyrdred.com/novel/ss/hotaru.html

あらすじ
石蛍を知っていますか? 蛍石ではありません、とても珍しい蛍です。


本当は最初、擬似親子のお話から拝読したのですが、まだ長編の序盤しか書いてなかったようなので、感想が自分の中でまとまりづらかったため、短編の感想を書くことにしました。
光に触れると石化してしまう綺麗な石の蛍。こんな幻想的な設定を思いつくのがまずすごいなあと思いました。ファンタジー脳でない私の頭からはひねったところで生まれてきません。光を浴びた蛍は石化して、それは高く売れるとのこと。生かすも殺すもあなた次第ですよと主人公に渡す怪しい商人。彼の意図はわからないけれども、そこでお話は途切れる――
結論がないからいいのかなと感じます。石蛍を手にもったまま途方にくれる主人公の姿が見えるよう。こういう結論を言わない形で余韻を残すって本当に上手だなあと思いました。
素敵な作品ありがとうございます。

あんのーん様 「山吹の門」

あんのーん様のサイト
http://novelz.blog4.fc2.com/

「山吹の門」
http://novelz.blog4.fc2.com/blog-category-9.html


あらすじ

俊介のおばあちゃんは拝み屋。引っ越してからしばらくしたある日、おばあちゃんの家を訪ねた俊介は、山の奥で幼い頃想いを寄せていた少女に会う。


感想(ネタバレあり)

「俺の名前ね、画家からとったんだ」というシーンが好きなのですが、俊介という画家はどんな絵を描くのだろうと思い「俊介 画家」でググッてみたのですが、何人かひっかかって結局どの画家なのかわからなかったという。俊介って名前は絵に愛される名前ってことですね!

伽倻子ちゃんが死んだ人で、俊介が生きた人で、そしてお伽話で黄泉の国から妻を連れ帰った夫の逸話となぞらえて俊介の迷いや葛藤が語られる――
個人的には夫や俊介の愛がなかったから伽倻子や妻から逃げたわけじゃあないと思うんですよね。独身の間は自分が無理すれば友達のところに駆けつけることができるけど、結婚したら家族が最優先になるようなのとちょっと似ていると思う。「限界」ってものを受け入れなきゃ人間は成長できないと思うんですよね。
だけど俊介はまだ若い。そりゃそうだ、まだ未成年だもの。ともかく俊介の年齢だと、「本当に愛しているならば、伽倻子を見捨てないのが道理だ」という結論を出した。それゆえに俊介は黄泉の国で、自分には相いれぬはずの存在を無理やり享受して、それで苦しむ。
苦しんだ末の答えが、安易な答えに落ち着かずに(なんかの奇跡が起こってめでたしめでたしのような)無理なものは無理。できることは精一杯した、それでも無理。という、冷たいようだけれども大切な真理めいた終わり方――つまり俊介が伽倻子を置いて帰ってくるということですが、その結論に私はやたら満足したものを感じています。それでいいんだよ、よくがんばったね、俊介。って言いたくなった。
ホラーであり、お伽話のような不思議な世界観であり、淡い恋のお話のようでもあり……でも私はこれは、俊介が大切なものを失うことによって、一歩大人になる物語なのかな? とも思っています。
のちの俊介の人生は軽くしか語られていませんが、若い頃の苦い思い出はきっと俊介のそれからの生き方に影響を与えたのではないかと、ほろ苦い黄泉路ラブストーリーを興味深く拝読いたしました。

比紗由様、「遠くあの空のむこうに」

比紗由様のサイト
http://sorairosonoiro.web.fc2.com/index.html

「遠くあの空のむこうに」
http://sorairosonoiro.web.fc2.com/mokuji.html


あらすじ

愚鈍な王ハウレギに娘を嫁がせるように言われたゼオルは、息子のギリアムと将軍ゴドーに娘を迎えにやらせる。ゴドーは知らなかった。このときこの遣いでしかない旅が、長くなることなど想像だにしていなかった。


感想(ネタバレ)

ツイッターで何度もギリアムギリアムとうるさく騒ぎ立ててすみません。美形で頭もよくて、ふてぶてしくそして熱い男ギリアム。そしてちょっと寡黙だけれどもジリオンのことを大切に思っているゴドー。この二人めちゃくちゃ好き。ギリアムの不遜な態度とか、ゴドーの不器用な愛情とか、見ているだけでキャラを好きになれることまちがいなし。
ところがギリアムとゴドー以外のメンバーも素敵なのです。おばかな王様だけどハウレギも美味しい味だしてるし、ドルトーネが特にお気に入り。それぞれの人間がそれぞれの思惑――いや、違うかな。それぞれの感情で動いているって感じです。理論や理屈はおまけで、自分がどう生きたいかという姿に忠実なだけのような気がする。そのひたむきに毎日生きる姿が、とっても愛しいと感じる登場人物たち。
ギリアムの女装して拐われるシーンすごく好きです。実は私、あのままジリオンのフリをしてハウレギに嫁いで寝首をかくとかそんなのかとてっきり思っていたのですが、ともかくジリオン可愛いですね! おてんばなお姫様。ゼオルの息子娘はみんな美人なようで羨ましいです。性格美人でもあるし!
まだ始まって盛り上がる途中の、起承転結で言うなら承の段階ですからこれから先が楽しみで仕方がありません。ゴドーの活躍に期待しています。心から好きになった女のために立ち上がるんだ!
そんなテンションの高い語りでした。素敵な小説ありがとうございます。