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HaiToさん「72の高貴な下衆達の狂騒曲」

HaiToさんのページ
http://mypage.syosetu.com/196593/

「72の高貴な下衆達の狂騒曲」 (グロ注意)
http://ncode.syosetu.com/n4886z/

あらすじ
悪魔の力を使役する者と、狂ったように欲望を体現する悪魔との終わることのない闘争の一つの物語。

感想
いやー普段グロとかは読まないのですが、ここまでグロいシーンしかないとグロテスクをグロテスクと感じさせない魔力がありますね。読み終わった頃には実際には存在しないはずの血のにおいで鼻がつまったような気がしました。感覚麻痺です(笑)
これだけの量をずっと血と暴力の饗宴で書き続けるっていうのはグロが好きな人でも難しいと思うのですよ。まさに悪魔の力を使役するモノと欲望の悪魔の物語って感じです。彼らの前では他のすべてがゴミに見える……というと大げさですが、些末な存在に見えてしまう。
ご本人が「ちょっとやりすぎた」とおっしゃるように、グロいシーンばかり続いて目が慣れてしまうとずっと同じシーンに見えてしまうというデメリットもあります。めりはりがつくとぐっと面白くなるんだろうな、化けるんだろうなって思うととてもそこは残念な気が。だけど作者のHaiToさんが書きたいものもなんとなく分かるんですよね。グロテスクなシーンというよりもいかに人間がちっぽけな存在なのかってことがよく描かれてると思います。私たちを搾取する存在は同じ人間たちしかいないわけですが、動物たちにとっての人間のように、人間にも天敵がいるとしたら、それはきっと人間の力を束にしても敵わない圧倒的な何かだと思います。
この世界見ていると、今自分、戦争もない殺人とも縁遠い環境にいるのがすごく幸せな気がします。そんな作品でした。
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比紗由さん、「置いてけの沼」感想

比紗由さんのサイト
http://sorairosonoiro.web.fc2.com/index.html

「置いてけの沼」
http://sorairosonoiro.web.fc2.com/tanpen/oiteke.html


あらすじ

七人兄弟の五男、甚助は鬱屈した思いを抱えていた。
置いてけの沼のもののけと人間の織り成すやさしく淡い恋物語。


感想

また時代物だ! と思って食いつく。この前花三郎の話を読んだときもそうですが、比紗由さんは時代物の恋愛を描くのがとても上手です。なんだかこういうお話、映画化しそうだなと思っちゃう話が多い。
置いてけの沼はその名のとおり「おいてけーおいてけー」と沼のほうから声がするのでみんながあまり近寄りたがらない沼。まあ甚助はそんなに怖がっちゃいませんが。木蓮の妖怪がそっと手を伸ばすシーンとか、奥ゆかしいですよね。どっちもリードするタイプでないから私が思わず「好きですって言っちゃえよ!」とノーパソに向けて身を乗り出すじれじれっぷり。だけどそんな二人の恋だからこそ、燃えて終わりではなく炭火のように末永く続いたのだと思います。
比紗由さんのお話は悲しいものもハッピーなものも、最後にほんのりあたたかでやさしい気持ちにさせてくれるところが好きです。ありがとうございました。

ハイバラさん、「箱入り探偵」

ハイバラユウスケさんのサイト
http://sakura.canvas.ne.jp/spr/haibaland/

「箱入り探偵」のページ
http://sakura.canvas.ne.jp/spr/haibaland/hakoiri.html

あらすじ
佐久間くんは探偵だ。この変人とおりこした変人と、愉快な仲間のミツ・スピカ・小次郎。彼らと、名探偵がダンボールの向こうから見る事件の全貌とは……

感想
ミステリーはネタバレすると面白くないので感想の書き方が難しいのですが、正直最初、この世界に慣れるまでがちょっと戸惑いました。佐久間くんがあだ名をつけるから、一人につき2つずつ名前が出てくるんですね。しかも関係ないネーミングでつけられるために繋がらずにちょっと混乱する。
だけど佐久間くんが「こういうキャラなんだ」ってことがわかったあとは、唐突に出てくる言動も全然気にならなくなりました。別にこれ、お話の進行上キャラが動いた結果唐突なわけじゃなく、佐久間くんがそのまま唐突なキャラなんですよね。随所で笑うつもりもないのに笑わされてしまう。コメディが好きなタイプでもないのに笑ってしまうというのは破壊力のある笑いです。そういうのが書けるってのはすごいと思う。
ミステリー風コメディと銘打ってありますが、本格とまではいかなくても、ライトなミステリー(少なくとも私はこのレベルのトリックが考えられません)としてはとても完成していると思います。
この変人通り越して自分の世界オンリーな自閉症ともとれる探偵くんの活躍をこれからも期待したいと思います。

つづら織つくもさん 「世去りぬ桜」

つづら織つくもさんのページ(pixiv)
http://www.pixiv.net/member.php?id=3008644

「世去りぬ桜」のページ
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=236925


あらすじ
咲く時を自ら決めると言われる呪いの桜に興味津々の徒和の姫は、ある時桜の木の近くで見目の美しい男と出会う。


感想
まず緋寒と会うあたりから、こいつは呪い桜の正体なんだろうなとそこらへんはお約束だからわかるのですが、わかったところでストーリー自体は楽しめる作りになっています。徒和の姫の可愛さにきゅんきゅんした呪われた桜の君、緋寒が誰かを呪うことでしか好きな徒和の姫を喜ばせることができないと見事勘違いしてがんばった結果、徒和の姫が悲しむことになったという話。と置き換えることもできます。
緋寒はただ徒和の姫が桜が咲いているところを望んだから咲かせてやろうと思っただけなんですよね。その過程がなんであるかとかは気にせず、そうすれば喜んでくれると本心から思ったのだろうと思います。木と人間のギャップです。
わかりやすいストーリーにしてあるから緋寒がすごく極悪な存在に見えますが、こういう無邪気な過ちっていうのは人間同士の間でも普通に起こる過ちだと思います。良かれと思ったことが大惨事になるってことはままあること。あとは愛する人のためならばどんな愚行も正当化されるような気がする瞬間もある。
なんとなく、そういう示唆的なものを含みつつ、全体としては怪奇な雰囲気も漂わせたお話で、「桜など望まねばよかった」と徒和の姫が呟いたときは、なぜか私がズキンとしました。きっと彼、がんばったんだよ? のように。いや間違ってはいるのだけれども。

そんな感じで、面白いお話をありがとうございました。
色彩美豊かなお話でとても楽しめました。ありがとうございます!

らんとさん「宵闇奇譚」感想

らんとさんのサイト
http://www.ac.auone-net.jp/~dproject/

「宵闇奇譚」のページ
http://www.ac.auone-net.jp/~dproject/novel/yoiyami/index.html


あらすじ

昭和初期――まだ現世《うつしよ》と幽世《かくりよ》とが曖昧だった頃、一人の男がいた。
結城麟太郎と名乗るその男は、夜毎浮かんでは消えるものたちに心惹かれ、仄暗い宵闇の中で彼らのことばに耳を傾けるのだった……(本作より抜粋)


感想

ちょっと不思議な物語って言うのが適切かなと思います。もっと妖怪とかどばーっと出てくるお話かなと思いきや、読んでみると本当に現世と幽世の境が曖昧だった頃のお話って感じ。本当に境界が曖昧で、麟太郎の見ている世界が普通なのか、それとも見えないのが当たり前なのかわからなくなってきちゃう。というのは私も妖怪とかの類が見える体質だからかもしれませんが(汗)
鬼の章までしかまだ完成していないようですが、桜・月・鬼と全部違う展開をしていて、それぞれちょっとずつ不思議なお話という感じで面白かったです。私が一番好きなのは月の章です。こういう幻想と現実の境が曖昧な感じというのは、表現したくても上手に表現するのは難しく、うまい具合に私もこの宵闇の世界で迷子になってしまったわと思いました。
宵闇奇譚、あっちの世界とこっちの世界が交わる雰囲気を楽しみたいときにはオススメの作品です。幽霊を見たことがないよって人でも、たぶん擬似的にこんな雰囲気ってのが伝わるんじゃあないかなと思います。
とても面白かったです。あとインスピレーションを刺激されました。

このたびはご依頼いただきありがとうございます。
またの機会がございましたら是非!