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アラビアンローズ

アラビア風ファンタジーを舞台ににライラと王子が恋に落ちる話。
ルルル文庫の下調べのために買った本だけど、けっこう面白かったです。16歳で胸がなくて強気な女の子というのは割とお約束だけど、ライラの世間知らずっぷりやシャルディーンの食えない男っぷり、最近の少女小説はこんな雰囲気なのねーと思いました。いや、まだもうちょっと下調べは続けますが。
「自分の話にオリジナリティはない」と言い切っている作家さんのリツイートがあったのですが、要は面白いこと、読みやすいことが大切なのであって、必ずしも示唆的なものが読みたい読者さんばかりじゃあないってことは私も念頭に入れておかなきゃいけないことです。アラビアンローズはたしかに面白かったし、テンポもよかった。ほいほい次はどうなるんだろうって読めました。
だけど私と波長が本当に合う話かって聞かれたらちょっとわからないです。ドツボにはまったわけではない、くらいでしょうか。

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「うまくいかなさ」を表現する

「ライ麦畑をさがして」という本を読みました。
「ライ麦畑でつかまえて」を愛読書にしている精神病院を退院したばかりの青年の話です。
ホールデンは入院してしまったところで終わってしまうのに、、彼は退院してしまった。そして学校で出た課題は「ライ麦畑でつかまえて」の続きを書くというものだった――

あと書きを読んだとき、大江健三郎は「作家というものは子供の頃の出来事を繰り返し書いているにすぎない」と言ったと書いてありました。まったくそのとおりです、作家っていうのはあの時代をぐるぐるしているだけなのだと思います。
「うまくいかなさ」を表現するのが作家、何か次の一歩の勇気をくれるのが本なのかなって私は感じました。
主人公のニールが見たサリンジャーの姿はあまりに孤独だった。ホールデンをあれだけ生き生きと書いたとは思えないほど老いていた。
自分を理解してくれていたのはホールデンでもサリンジャーでもなく、周りの人々だったというお話でした。
私自身、「この話は私の手元にくるために書かれた本だ!」と感じた本が何冊もあるけれども、「ライ麦畑をさがして」も、その中の一冊です。だけどニールが私を理解してくれているわけじゃあない、きっと理解してくれているのは一番身近な人たちなのでしょう。

ティファニーで朝食を

ホリー・ゴライトリーの勝手すぎる日々について書かれた「ティファニーで朝食を」なのですが、こんな女いたら絶対に迷惑だろうなあと思いながら、いつしか私もホリーを目で追っているんですよね。
彼女の自由奔放な様子は魅力的でもありながら破壊的でもあります。
映画派か原作派かにわかれるとは思いますが、私はたぶん原作派。
原作ではホリーは麻薬のディーラーとして捕まってしまうのですが、最後の最後まで、羽をもがれるくらいならば破滅的でも自由の方向に飛び立とうとするホリーの鳥のようなエネルギーが私は好きでなりません。

車輪の下

「車輪の下」と聞くと、Mさんも私もニノさんの言葉を思い出します。

デザイン科はみんな車輪の下にいるんだ

デザイン科は〆切に追われる過酷な学校だと知っていましたが、よもやそこまでニノさんが追い詰められていたとはと思ったニノ名言集に加えたい一言です。

そんな車輪の下はくらーいお話だと思っていたのですが(というのも、主人公が最後に死んじゃうことを知っていたから)非常に詩的な表現豊かな、綺麗な情景が浮かんでくるようなお話でした。
ハンスがお魚を釣っているところも、みんなといっしょに走っているところも、散歩して鳥の声を聞いているところも、ハイルナーとキスしているシーンも、めまいを起こして立てずにいるシーンも、最後の死ぬ間際のシーンですら、とても綺麗です。

 ほんとうはハンスは、少なくともリュッツェラー・ホーフか、サフラン原まで大きな散歩をするつもりであった。が、いま彼はコケモモを食べながら、ものうげに意外のおももちで宙を見た。こんなに疲れたのが、われながら不思議に思われだした。以前は三時間や四時間歩いてもなんでもなかった。彼は元気を奮い起こして、相当の距離を歩いてやろうと決心した。そして数歩歩いた。だが、そこでもう、いつのまにかコケの上に横になって休んでいた。彼は寝そべったまま、目を細くして、幹やこずえのあいだや緑色の地面を漫然と見た。この空気のなんとけだるいことだろう!

始終こんな感じの文章です。ヘッセの詩集が欲しくなりました。

このお話で一番のお気に入りはハイルナーで、次がハンスというふたりの美少年くんなのですが(腐女子はどうやったってそうなるよ)、ハイルナーのこの自己陶酔っぷりとたまにくる憂鬱体質っぷりがなんとも詩人らしくて私は大好きなんですよね。
どこからこんな萌える少年を思いついたんだろうと思ったら、ヘッセの最初の紹介文に「『詩人になるか、でなければ何もやりたくない』と神学校を脱走」とか書いてあるんですよ。
ハイルナーはおまえか!(笑)
ハイルナーもヘッセも一気に好きになった次第です。車輪の下は間違いなくお気に入りの一冊にいれていい本だと思います。
人生に一度は読むことをおすすめしたい本です。

一冊で哲学の名著を読む

どの哲学書に興味が向くか調べるために買った一冊。
正直要約するにしてももうちょっとページ数がないと無理だったんじゃあ……? と思うくらい急ぎ足でまとめてあります。
たしかに作者の荒木さんが「高校生に説明するつもりで書きました」と書いているとおり、高校生が倫理の授業の延長線上に聴くにはいい感じの内容かもしれません。
紹介のされかたはとても魅力的です。
「この本読んでみたいな。あ、こっちの本も面白そう」
そういうふうにいろんな哲学書を読んでみたいなあと思った次第でした。

特に読んでみたいと感じたのがアウグスティヌスの「告白」。そしてヘーゲルの「精神現象学」です。サルトルの「存在と無」も読んでみたいなあと思いました。
だけどとりあえず家にある「死に至る病」と「ツァラトゥストラはかく語りき」と「論理哲学論考」と「社会契約論」と「善悪の彼岸」を読んでからじゃあないと次には進めそうもありません。(汗)

今の気持ちとしてはキルケゴールあたりを読んでみたい感じなんですよね。
じったんが「キルケゴールは自己陶酔している」って言っていたけれども、まあそのとおりだろうと思うよ。私はそんなキルケゴールの気持ちもわからんでもないけれども。

それにしても哲学書の書き方を見ていると、そのキャラというべきか性格というべきか、すごく出てくるみたいですね。
絶対にカントだけは読めないんじゃあないかって気がしました。
ワタシマジメジャナイモン!