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うーん

なんか最近、調子が悪くてまた栄養ドリンクさんと仲直りしました。
養命酒だけではどうにもならないんだもの。早く元気になりたい。
そんなわけで、今日読んだ本の感想。

「たのしいムーミン一家」/トーベ・ヤンソン

小学生の頃嫌いだったムーミン。でもツイッターのムーミンぼっとの台詞は好きで、もう一度トライしてみようと思ったのだけれども。結論から言うならば、こいつら言葉を自重しなさすぎで私は好きになれんというやつです。そりゃ児童文学だから台詞を遠慮する必要もないんだろうけれども、ムーミンが帽子で化物に変身したときに「お前ほど醜い奴見たことない」とかひどくないですか? 正直、スナフキン以外で好きになれそうなキャラクターがいません。
だけどやたら引力は強くて読み込ませる力はあるんだよなあ。
好みではないけれども「おかしいだろ!」と言いながら最後まで読んじゃう感じ。不思議な魔力を感じる一冊でした。




「ランジーン・コード」/大泉貴

こっちのほうは先に読書メーターのレビュー見ていて、いまいち評価がいいものがなかったのでちょっとびくびくしながら読みました。だけど、実はとても面白かった。
設定がすごく作りこまれているけれども、ストーリーが面白くないとレビューには多かったのだけれども、私はすごくこの世界観もストーリーも好きだったりする。いいなあ、こういうお話を書けるのって羨ましい。主人公のロゴがとても好きです。成美も、由沙美も、出てくるキャラクタたちはみんなそれぞれの物語をもっていて愛おしいなと思った。
惜しむらくは読みづらいこと。文体が、というよりは、ストーリー自体が込みいっていて、あれ? これはなんだっけ? これは? と何度か詰まってしまった。だけどもう一度読んでみたいな……と思わせてくれるような話だったので、読み直しはそんなに苦じゃあない。
一見文句が多いような書き方しているけれども、注文が多くなるのはそれだけ自分にフィットした作品のときだったりする。
しっかり世界観がなじむまで、あと二回くらいしっかり読み直したいなあと思っている。久しぶりに私の中で大ヒットだった。

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最近読んだ本

簡易ですが、感想をば。

「モモ」/ミヒャエル・エンデ

時間泥棒と時間を取り戻した女の子の話。あまりに有名なのに実際に読んだことはなくて、読んでみようと思って図書館から借りてきた。
説教くさいわけでもなく、大事なことが書かれていた気がします。時間の大切さだけではなく、人との関わりかたや何を大切にしているかとか、子供の頃に読んでおけばよかったなあと今頃になって思ったり。
何度か読み返してやっと真理のひとつふたつが理解できるかな? くらい本当は奥が深いのだろう。少なくとも私は一度読んだだけですべて理解できたとは思っていない。
関係ないけれども途中に出てきた人形のビビガールがめちゃくちゃ怖かったのは何故だろう。なんか物欲と消費だけを増大させそうなあの雰囲気がめちゃくちゃ怖かった。




「アーモンド入りチョコレートのワルツ」/森絵都

森絵都さんの話は初めて読みます。タイトルとピアノ曲をモチーフにした話というのが気にいって購入しました。
最初の話に出てきた章くんが実はすごく好き。いばりんぼで、命令ばかりして、友達からは陰口を叩かれて。だけどやさしさは忘れない、そんなところがすごく好きだった。
全体的に主人公には感情移入ができず、かわりに問題児のほうに感情移入してしまい、そのせいか好みな世界観のはずなのにすっごく好みだったとは言いづらかった。
「アーモンド入りチョコレートのワルツのように生きなさい」というサティのおじさんの一言はすごく好き。音楽と自由を愛する人のフレーズだなあと思った。




「ホテル・アイリス」/小川洋子

エロいエロいと思いながら読んでいたら、最後に「怖い」に感想が変わった。
マゾ心をくすぐる老人翻訳家の命令口調。アブノーマルなプレイ。そうして主人公の少女のじめっとした感情とか、嫌というほど私のマゾ心を満足させてくれる一冊だったのですが……それにしても最後にマリーという少女についての翻訳を探してもらったときの、あの短い一文がめちゃくちゃ怖かった。
本で読む分には多少倒錯しているほうがいいけれども、実際にこんなじいさんに近寄られようもんならば私は裸足で逃げ出します。通ったりしません。主人公のマリはどう考えたっておかしい!


暴走少女と妄想少年



もっこり制作にあたって、いっしょに出る作家さんの作品も知らんようじゃあかんだろと思って購入。
ラブコメってすごいね! そんなキラキラした世界、私は逆立ちしても書けそうもない気がする。

感想。
友達ってお願いして作るものじゃあないよね。そんなのイーブンでもなんでもない。
善一にも武瑠にも友達についてのトラウマがあり、だから新しい環境になっても友達が欲しいと積極的になれない。だけど人生においてまったくトラウマなく育つ人なんて誰もいないし、決して立派じゃあない武瑠も善一も、等身大で背伸びせずにこのままいけばいいと思う。
それにしても武瑠ちゃんの可愛さでここまで暴挙が許されるのであれば、私ちょっと今からニーソの似合う脚まで痩せていっちょ可愛くなってこようかしら!(整形で) と思わずにはいられない横暴っぷり。そして善一は妄想はたくましいけれども善一って言うくらいだし、本当に善良的な男の子だなと思わずにはいられませんでした。
この歳の頃には同じ空間の中に友達がいない・友達ができないっていうそれだけでどこか息苦しさを感じる。大人になってからは生きる世界の選択肢が広がるから少し減る圧迫感も、敏感な高校生たちの環境ではプレッシャーなのだろうなと思った。
毎日毎日、全力で生きているという雰囲気が可愛いなと思った。

そんな感想でした。
うまく言葉がまとまらないけれども、善一の妄想のたびにニヤニヤが止まらなかったです。

リルケ詩集

リルケの詩集は私にとって聖書のようなものです。
私は心のバイブルをいっぱい持っていますが、その中でもリルケの詩集は不思議です。私に気づきを与えてほしいときにこの詩集をてきとうに開くと、なぜか答えの「鍵」がのっているからです。
ちなみにこの感想文を書く際、リルケの詩集を開いたら
「天使に寄す」という詩が目に飛び込んできました。

私をもっとはっきりさせるがいい なぜなら私は消えていく

はっきりとした絶望のようなものが私の中に広がりました。おそらくリルケの絶望ではなく、私の絶望です。
私の言葉は消えていく、私の存在もそのうち虚ろになる。

私をもっとはっきりさせるがいい なぜなら私は消えていく

もっといっぱい小説や詩や、エッセイや色々なものが書きたい。
何故なら私の想いはたまゆらだから、一瞬一瞬を書き留めておきたい。
それらはかつて――私にとってどうでもよくなかったものたちだ。愚かな私を一つ一つ刻んでおきたい。

シッダールタ

この本ほどやさしく平易に、そして読みづらく先に進むのが怖い本を私は知らないです。
毎日、たった160ページしかない本の一章一章を少しずつ読み進めました。毎日瞑想して物思いに耽り、毎日疲れて寝て、最後まで読み終わった日は知恵熱を出しました。
読むのに一週間以上かかったけど、シッダールタは私のためにある本だと感じました。だけど私はシッダールタの境地まで擬似的にすら達することができませんでした。
川の音を聞くシーンが何度も頭の中を反芻して、瞑想するときに風の音や時計の音をじっくり聞いてみたりもしたんですよ?(笑) だけど風の音は風の音、時計の秒針を刻む音もやっぱりそうとしか聞こえませんでした。
言っている意味はわかる、感情もいやというほど感じて涙が出たくらいです。だけどだめだった。私はこの境地に至るまでの智慧をもっていなかった。知識はいちおうあったけれども、書かれていることは知識として入っただけにすぎなかったのです。
色々なところでつまり、読み進められなくなったけれども、一番つまったのは
「あまりに大きい賢明さを戒めよ!」
とゴータマに言われるシーンです。この答えの意味を何度頭の中で反芻したかわかりません。何度自分を賢いと思って、何度自分を愚かだと思ったことでしょう。私はきっとこの段階なのでしょうね。

シッダールタは私の探していた涅槃の答えの鍵をくれました。
それは存在しない、ただの思想でしかない。「ただの」と言いながら、「今の」私にとってはすごく重要なものなのです。
ゴーヴィンダはシッダールタの影からゴータマの影になった。私はリルケの影からヘッセの影になった。これからも変わっていくかもしれません、なんせ私には数々の尊敬する作家さんがいるので。
ただ、変化するということは美しいなあと思いました。それは永遠の美なんかよりもずっとずっと美しいものです。若い頃は年をとりたくないと思っていたのに、不思議な気持ちですね。