忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

海野真水様「BOTTLE UP!」感想 中辛

海野様、このたびはご依頼ありがとうございます。
喜んで読ませていただきました。

海野様のサイトはこちら。
http://mamizu009.hp.infoseek.co.jp/

「BOTTLE UP!」のページはこちらです。
http://mamizu009.hp.infoseek.co.jp/bottlemain2.html

あらすじ

掃除の途中、おじいちゃんの魔法のオーブを見つけたリベラルは、冒険したくてたまらなくなった。冒険留学の手続きをして、いざ冒険スタート!
魔法を授ける町「ポルトツ」に向かう途中、海で知り合った女の子。彼女は国を滅ぼす何かと戦う使命をもっていた。
「なんとしても、魔法を手に入れたい」
そう考えるふたりの少年少女、そしてそれを色彩る様々な仲間たちの旅の……序章?


中辛でいいとのことですので、中辛くらいを目指したいと思います。
三十八話まで読ませていただいたのですが、とりあえず魔法を手に入れてひと段落のあたりまでですね。
まだ悪い魔法使いとも遭遇していないし、たぶん第一章にあたる部分なんじゃあと勝手に判断しました。

レトロなRPGを想像させられる作品です。頭の中でFFやドラクエのBGMが流れていました。ファミコン時代のあのひとつしか音源がない、あのメロディです。
基本の展開は「○○へ行くのじゃ」「△△というアイテムを手に入れてくるのじゃ」が基本です。
じゃが付くのはてきとうな私のレトロ冒険へのイメージですが。
そこまで行くのにモンスターを倒して、宿屋に泊まって、道具屋で道具を買う。仲間たちと出会い、新たな冒険があり、ラスボスがいて……やっぱり古きよき時代のRPGを思い出します。

主人公たちも特にあくの強い性格の人がいるわけではないのですが、長く冒険を続けていくうちに少しずつ打ち解けていくんじゃあないかなって感じがしました。まだみんな、少しぎこちないのかなあって。
途中で仲間になった呪われたアルや、船頭のプロキオンもどこまでいっしょに行動してくれるのかはわかりませんが、とても気になる人たちです。
ちなみに私、プロキオンが好きです。なんだか陽に焼けたさわやかマッチョなお兄さんを想像してしまいました。

瓶に願い事を書いて海に放り込むと、人生に一度だけ魔法を授けてもらえるチャンス! というその発想も斬新だと思います。オーブがないと魔法が使えない、またオーブが砂になるともう魔法は終わりというのもなんだか面白いなあって。
普通一度魔法を覚えると、精神力とかの制限はあったとしても一生使えるものだというイメージがあったので、ここらへんの発想は見習いたいところです。

さて、中辛とのことですので、一部の問題点などをあげさせていただきます。
まずレイアウトの見難さとリンク切れのひどさが一番の問題点です。ええ、小説に問題はあまりありませんでした。ただ読んでる最中に何度もぶち切れる感があって、あれ? あれ? とリンクを探したりしなければならず、困りました。
けっこうな量があったので「ここリンクはずれていたよー」と報告するのも難しいくらいです。
一度全部のリンクをチェックなさることをオススメします。現在アンケートをとってらっしゃるみたいですが、そのとき一番人気のあるレイアウトになさるといいかもしれませんね。
私はボトルに魔法を詰めるあたりぐらいからのレイアウトが一番見やすいと感じましたが、個人的な好みとしてはセンタリングされた13~ぐらいからのレイアウトほうが好きかもしれません。

お話自体へ少しだけ突っ込みを。途中から「少しスムーズに進みすぎじゃない?」と思いました。
それともこれ自体が魔法使いの罠だったり、リベラルたちが選ばれし勇者として一筋の道を一直線に進んでいるとか、そういう展開ならありかもしれませんが、あまりにスムーズすぎるような気がします。
もっと回り道したり、違うイベントがあったりしてもいいかもしれません。
あとアルの呪いが洞窟の中で「破魔の歌」で解けたのかどうかがのちのちの魔法受託のときによくわからなくなってしまったのも問題だと思います。私が何か解釈を間違えたのかもしれませんが。

そしてこれを突っ込んだら元も子もないと思ううえに、私の意見ではないのでどうなのかな……? というのはあるのですが、一般的にレトロRPGの形式をとったような仲間を集めてダンジョンをクリアし、ラスボスを倒す~というストーリー構成は投稿では通らないそうです。そう本に書いてあった、程度なので確かなのかどうかはわかりません。
それを考えていらっしゃるのか、それともあくまで趣味と割り切っているのかで今後の展開を考えてみるといいかもしれません。


以上のことを踏まえて、まとめの感想になるのですが。
ボトルアップはまだ駆け出しの冒険者たちが魔法を手に入れたところで、これからどうするのか、まだまだ可能性の幅がいっぱいいっぱいあるお話だと思います。ぜひとも愛と勇気で乗り切る英雄への道を突き進んでほしいなあと、勝手に全部、何かのゲームを思い出すような説明をさせていただきました。
正直私にはこういう素直なキャラたちも、素直なストーリーも書けないので、なんだか少し和んだ気持ちになりました。よくも悪くも、安定したお話だと思います。

それでは、このたびは素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました。
またのご依頼をお待ちしております!

PR

ヒロ様「餌付けされる日」の感想

ヒロ様、このたびはご依頼ありがとうございました。
掌編「餌付けされる日」を拝読させていただきました。

ヒロ様の素敵小説のアドレスはこちらです。
http://bungeisen.main.jp/novel/ezuke.html

餌付けって響きでなんとなく誰かが飼われるお話なのかな、禁断の香りがむんむんのお話なのかしら、ドキドキと胸をはずませてリンク先を読むと、最初の時点で何かを間違って両手を緊縛しかかっている主人公。
ほうらほうら! これはきっと緊縛プレイのお話なんだよ。とまったく見当違いなことを考えていました。本当お恥ずかしい。

読み終わったときに感じたというか、浮かんだ言葉は「不適材不適所」ってやつなんですよね。
適材適所にみんなが配属されれば、問題は比較的少なく終わるはずなのに、これだけ不景気な時代になるとみんなが自分にとって心地よい環境、適当だと思える職場に行けるわけではない。
主人公は効率よくルーチンワークをしていくことや、営業で人と人のコミュニケーションをしたりするよりも、どちらかといえば頭を使うことや企画する仕事とかのほうが得意なのかもしれません。
大学院まで出たのですから、考えたりすることが苦なタイプではないと思うのです。
だけど何故かスーパーの食べ物を積み込む仕事や、直感を使うタイプの仕事に就かざるえなかった。
ある意味別の部分が鍛えられるチャンスだと思えるような人ならいいのですが、この主人公はどこかで
「ここは僕の居場所なのだろうか?」
と感じているように思えます。
もし明日、偉い誰かが「あなたを好きな仕事に就かせてあげるよ」って言ったら、彼はどんな仕事を選ぶのだろう。たぶん営業や荷造りの仕事をそれでも選ぶタイプではないはずです。やりがいのない仕事だとは思っていないけれども、やりがいのある仕事だとも感じていない。ただ就職できる場所が本当に限られている時代だったから、選ばざるえなかった職場。
仕方ないとわかっていても、どこかで感じるジレンマ。それは「もっと自分らしく働きたい」って感じることなのかもしれません。

まあ、そんな不適材不適所な職場で居場所もなんもなかった彼にとって、主人公よりかは幾分かスマートに生きている高卒の絵里奈さんは学歴は自分より低いのに、生きる力はある女性。
言い方がちょっと違うかもしれません。ここで生きていく力がある女性ということですね。つまり彼女は比較的適材適所の場所にいるんだと思います。
そして主人公にちょっとした気遣いを見せるだけの余裕もある。
言葉はちょっとはすっ葉で、だけどそれが嫌味だと感じられないのはきっと彼女の言葉にどこか思いやりや愛情を感じるからじゃあないのでしょうか。

>「そ、餌付け。ペットなのだ君は」

けっこう失礼な言葉だけれども、なんというか不思議な気分になる言葉です。
繋いでおかないと、どんどん離れていってしまいそうな存在。絵里奈さん自身もきっと、主人公が本来ならば自分と同じ会社にいるのがおかしいと思っているのかもしれません。だからそのうち、辞表を書いてまったく違う世界に行っちゃうんじゃあないだろうか、と。
恋なのかどうかはわかりませんが、絵里奈さんは自分にとってちょっと可愛いと感じる同年代の男の人を近くに置いておきたいのかもしれない。
それは、「あなたは魅力的な人なんだよ」って言われているような気がして、「だから別の世界なら、あなたのことを必要としている人はいっぱいいるんだよ」とも言われている気がして、「だけど私はあなたにここにいてほしいんだ」って本音も語ってくれているような、そういうなんだかちょっとくすぐったい気持ちになるような響きが含まれているよなあと感じました。

絵里奈さんは女性としてはとても魅力的な人です。思わず私も餌付けされたいと感じるくらい。ポッキーを兎のようにぽりぽりと食べるところも可愛らしい。そのくせ圧倒されるような感覚があるという、そのオーラもうらやましい(笑)
つまるところ働き始めの彼に、冷たい社会にさらされた後輩に、エールを送っているんですよね。
ただ「がんばれ」と言われるよりも、ずっとずっとぐっとくる言葉だなあと感じました。

心が温まるとはちょっと違うのだけれども、なんだか心の張り詰めた緊張が少しだけゆるむような、そんな素敵なお話だと感じました。


そんな感じで感想終わりです。
このたびは素敵なお話を読ませていただき、ありがとうございました。
またご依頼いただける機会があれば、他の作品にも触れてみたいなあと感じました。
 

たかしょう様「葡萄の言い分」の感想


たかしょう様、このたびは感想のご依頼ありがとうございました。

今回読ませていただいた「葡萄の言い分」のアドレスはこちらになります。
http://ringoss.net/novels/raisin/raisin.html

くどいまでにメロドラマとのことで、とても楽しみに読ませていただきました。
メロドラマというよりはロミオとジュリエットっぽい戯曲を思わせるような語り口ですよね。
たかしょう様の作品は今までにもいくつか読ませていただいたのですが、とても読みやすい、きれいな文章だと思います。だけど今回はそれにも増して、その光景や空気が伝わってくるかのような、素敵な文章で、何度私は読みながら感嘆のため息をついたかわかりません。
特にザヴィエと天の葡萄との会話は秀逸すぎると思いました。
私もザヴィエに愛を語ってもらいたいですよ! なんだこのいい男、ここまでの覚悟をもってして、天の葡萄を愛すると決めた男、何も知らないとお互い思いながら、相手のことを一番に考えて自分の都合は二の次三の次なお二方。
もし天の葡萄が葡萄のためにザヴィエを望んだら、ザヴィエはここまで天の葡萄に入れ込まなかったのかもいれませんね。天の葡萄も玉座のためにザヴィエが天の葡萄を選んだと思っていた頃は頑なだったけれども、それは言い換えれば愛していたからこそ王に彼を据えたくなかったわけで、なんとも彼らが愛おしくなるような、そんな優しいお話です。
最後の式典のときに、どっちがどっちを罠にかけて今の状態になたのか、と話し、お互い「私があなたを罠にかけた」と言い合って、とどめのザヴィエが
>王がわたしに、葡萄を与えると言ったとき、どれほど嬉しかったか想像がつくか? これがお前の罠であったというなら、わたしはなんどでもその罠に落ちよう
と言ったところで私は「結婚してください、ザヴィエさん」と呟いていました。
だけど私が罠はってもせいぜい砂場の落とし穴程度だろうな。傭兵のザヴィエさんはホップステップジャンプで飛び越えちゃいそう。(汗)

葡萄は甘くておいしいものを想像しがちですが、腐って地面に落ちる葡萄があってはじめて種ができ、地面が豊かになると思い出させてくれる、素敵なお話でした。
始終もだえっぱなしでしたよ。たかしょう様ありがとうございました!