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兵藤さつき様 「天青詞華」感想

兵藤さつきさんのサイト
http://www.peve.org/index.html

「天青詞華」
http://www.peve.org/tensei/tensei.htm

あらすじ
兄と喧嘩した直後、鈴花は気づいたら名前も知らない異国にいた。その国で出会った二人の若者。一人は荒くれ者で不器用な男、一人は優雅でおだやかな男。しかしそんな二人に取り合いされながらも、鈴花が願うのはひとつだった。
つまるところ「家に帰りたい!」その国においての女性の常識は、鈴花にとって耐えられるものではなかった。

感想
あらすじがうまくまとまらなかったのですが、このお話は涙腺ブレイカーです。
第四章あたりまで読んで、何故か思考がストップしたのでしばらく読まずにいました。今日読んでも平気そうなテンションだったので最後まで読んだのですが、四章から先は何度も目が潤み、そして最後のほうでは泣きながら次のページボタンを押すのですが、眼鏡が涙で曇って見えなくてつらかったです。
ヨンヤンのお姉さんの怒りの言葉。「私はこの国で誰よりも偉い女になってやる。必ず男の子を産んで皇帝にしてやる!」って本当に怒りが凝縮してますよね。この言葉を聞いたときになんというか、私の背筋には彼女の怒りが通り抜けたような気がしました。この国においての女性の運命に、彼女は精一杯信念を貫いたのだと思います。格好いい女性だという一方で、そんな彼女ですらこういう形でしか成功できないというものに悲しさを覚えたのがまず最初の涙腺ブレイクでした。
そこから先、どこでブレイクしたのか覚えていません。何度もブレイクしました。なんで涙が出たのか明確な理由はありません。感動するというより、悲しくて泣いたんです。ともかく悲しい、悲しみの上にできたストーリーでした。登場人物たちは悲しさの中でもがきながら、それでも何か一抹の希望のようなものを手繰り寄せようとがんばっている。こういう社会もあるんだ、これは他人ごとじゃなくてもしかしてあったかもしれない。そう感じるようなリアリティのあるドラマ。お話かもしれないけれど、彼らの心はリアルに存在する私たちの心と共鳴しているような気さえします。
ガオシンが好きでたまりませんわ。ガオシンに萌えたというより、彼の母になりたくてたまりませんでした。もう本当、こんな愛情に飢えた社会があるんだとしたら、こんな愛情に飢えた子が本当にいるのだとしたら、鈴花のように全力で愛してあげる誰かの存在を望まずにはいられません。
鈴花は家に帰ることもできたと思います。鈴花にはその権利があったと思います。彼のことをわすれて、幸せになることだってできたはずです。
「帰れよ。そして俺を振ったことを一生後悔しろ」
これ言えてしまうガオシンも格好よすぎますが、それに魂から応えることができた鈴花が本当……すっごく格好よくて、なんというか静かに激しい女性だなと思いました。情熱的で穏やかだけどすごくみなぎるように愛に満ちてる子です。
思い出すと涙また出てくるから落ち着くまでは読み返しません。だけどすごくよいお話に会えました。このカタルシスはすごい。さつきさんのお話を読んで、絶対にここまで書き込める技量を身につけようと覚悟しました。追いつけないかもしれませんが、目指します。
すごく好きなお話です。出会えてよかった、ありがとうございました。
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