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南河紅狼様、「王国騎士団物語」感想。ネタバレあり


大変お待たせいたしました!
紅狼様の「王国騎士団物語」を拝読させていただきました。

「王国騎士団物語」
http://telesco4649.fem.jp/novel-kn/knights-contents.htm


美麗なキャラクタ紹介のイラストに魅入られて、「アルゼインのイラスト好みだぁー!」とか思いながらうきうきと小説ページを見ました。
ええと……どのお話から読んでも大丈夫なのかな?
全体を見てそう考えたあと、どれから読むか迷いに迷って、
「蒼穹の空に」→「騎士は静寂を暁に染めゆく」→「騎士への受難」→「雨に濡れる騎士」→「黒の恐怖」
の順序で読ませていただきました。
未完結の作品はちょっと今回割愛します、01だけ見て連載の続きが待てなくなって紅狼さんをせかすなんてことがあったらいけませんので!

さて、順序として正しかったのかどうかはわかりませんが、お話の筋としては時系列順に読んだのかな? と読み終わったあとに思いました。
最初に読んだのが「蒼穹の空に」だったので、魔族との戦い! これはとてもどシリアスな話に違いない。主人公はアルゼインとエイリアスか。あれ、でもイラストで気合はいってたのは一番上の二人(そのときはまだ名前を覚えていなかった)だったような……。と思いながら読み進めます。
私は当然ながら、魔族と戦ったことはありません。(当たり前だ)
その力がどれだけ強大なのか想像もつかないし、人間と比較してどっちが強いのかというのもさっぱりわからないです。だけど魔族襲来のダメージは王都に、民衆に、騎士たちに、そしてアルゼインの心に、深く残ったのだと思います。
ディルが9歳のときに魔族との戦いはあったわけですが、幼心に怖くて仕方なかっただろうなあ、今の彼からは想像つかないけれども。
この戦いで若き頃のアルゼインやエイリアスは何を感じ、何を誓ったのか、幼い頃のリーディアやディルが騎士になる基盤はここでできあがったのか……などと思いを馳せてみます。

時代はそれから十三年(だったかな?)経った王都。
美形で自信家のディルと、無愛想で真面目なリーディアコンビの登場です。
イラストを見たときに、なんとなくディルに儚い美しさのようなイメージがあったので、きっと彼は大人しいキャラなのだろうと思いきや、イメージを完璧に覆した、まるで大きな子供のような彼に最初は、あーこのタイプの自信家は自尊心がチョモランマのようでちょいと苦手だわ、とすら思いました。
リーディアにしても、無愛想で真面目なお兄さん。私は真面目は流行らない、世の中甘い液を吸って生きるべしが根底に流れている人間なので(ディルかリーディアか似ているほうを選べといわれたら完璧ディルです)リーディアにも最初は苦手意識がある状態で、「でもこれからきっとときめくんだぜ?」と期待しながら読み進めます。
お酒に弱いリーディアと、辛いもの大好きなディルの食事のシーン。お、美味しそう。この地方では魚が高級品なんだなあ、などと思いながら、片手にはポテトチップス、片手にはウイスキーを持ってばりぼりしつつ読み進めます。すみません、あまりに美味しそうだったので私もディルたちとお酒を飲んでしまいました(汗)
そして序盤、酒泥棒を捕まえるお話かな? と思っていました。
高級酒をぶった切ろうとするリーディアと、それを止めるディルのやりとり、これがフルーツタルトだったらきっとディルとリーディアの立場が逆になるんだろうなあと思ったのは後からです。
なんだかはちゃめちゃな精霊王もどきを追いかけてどんどんお話が展開していき、途中から密輸の話とかも入ってきて、おおおおおお、と思っている間に話はあれよあれよとシリアスな方向に。
魔道具も元に戻って一安心と思ったところで、イーレンが精霊王の口八丁にそそのかされた! と思っていたら、その精霊王の正体は!
ここらへんから私はトイレに行く間も惜しんで話の流れを夢中で読みました。
早くイーレンを元に戻さないと、魔道具として処分されてしまう。ハロルドが最後まで必死になって説得を試みるシーンで、ハロルドー! あんた、メッシュとかいれちゃってちゃらついているけれどもいい男だわ、とハロルド株20円アップです。
とはいえ、私、このお話の中で一番感情移入しちゃったのはセラドットだったりします。魔法の力は信じられるけれども、人の力は信じることができなかった……それとはちょっと違うのかな、とても孤独な人だったんだと思います。ユングによれば世の中には外側に興味を持つ人と内側に興味を持つ人がいるらしいです。セラドットはたぶん表向きは外交的なのだろうけれども、完璧に外に興味がある人間(ディルのような)とは違い、自分の満足するものを作り出したいという芸術家気質なところもあり、だから外側の「成功」だけでも満足せず、内側の「自己満足」でも満足せず、本当は自分の外向きの成功だけでなく、内側の欲求を満たしてくれる“誰か”や、“何か”を欲していたのだと思います。
それがちょっと偏執的な形で最後は残念な結果を迎えてしまったわけですが。
そもそも力というのはみんな間違った形で使おうとは思っていないですよね。その人その人が、自分の中の「正しい」と感じる方向に向かってベクトルが動くわけで、そういう意味ではここに出てきた登場人物はみんな、自分の望む「正しさ」のために全力で動いた結果、こうなったのだろうなあ、と最後の顛末を見て思いました。

えー、ひとつの話を説明するのに随分長くなってしまいましたが(汗)
次のお話はリーディアとディルの中身が入れ替わってしまうお話です。
もうこの頃にはディルもリーディアも私大好きですので、そんなふたりが入れ替わるなんて、お約束だけれどもなんと美味しい。
世話の焼けそうなディルの副団長、ヒュールの姉さん女房気質も見ていて微笑ましいし、普段真面目なリーディアがぐーたらしていて、ぐーたらなディルがせかせか働いて、そして女官たちがギャップ萌えでふたりの騎士団長を囲む……。
フルーツタルトをもしゃもしゃ食べているディルは可愛いだろうし、隙だらけなリーディアも可愛いだろうなあと、不覚にも私もそう思いました。
そして事件発生ですが、ここで入れ替わるのだろうなあとは自分でも予想していました。だけどディルが痛いところだけリーディアに押し付けて美味しい役をいただいていったところは、さすがはディルさんだなあと思いました。そして苦労人のリーディア(笑)

思いのほか長い感想になってきたので、番外は割愛したほうがよさそうです。(汗)
そのうち日を改めて裏の小説も読んでしまおうと思うくらい面白かったです。

さて、そんな「王国騎士団物語」でしたが、ちょびっとだけ重箱の隅を突きます。
紅狼さん自身、昔の文章だとおっしゃったように、少しだけ読みにくい部分があります。文章がというよりは、設定の部分でしょうか。私がファンタジーを最近読んでいないせいもあるかもしれませんが、“魔法”という概念を理解するまでにちょっと時間がかかりました。
一見万能に見えるけれども色々制約もある魔法。だけどどこにどういう法則や制限があるのかまったくわからず、イーレンにしても、「素質者」というのは最初魔法の素質がある人だと思っていたんですが、あとのほうになると魔法の素質がない人のほうが稀有だとわかったりして、じゃあ素質者というのはどういうものなのか……と考えたのですが、魔法士になる素質のある人なのでしょうか?
魔法と精霊はどういう違いがあるの? とか
精霊王って厳密に言うとどういう存在なの? とか
この王都においての魔法というものがどういうものなのか疑問に残った箇所がいくつかありました。
もしかしたらしっかり説明されているのを私が斜め読みで飛ばしたという可能性もありますが(汗)

最後に、ひとつだけリンクミスをば。
蒼穹の空に2→3のリンク切れがありました。
えー。色々語りすぎて誰かから苦情がこないか心配ですが、ディルやリーディアにきゅんきゅんしました。このような感想でよろしかったでしょうか?
続きを楽しみにしていますので、是非よろしくお願いします。
このたびは素敵な作品をありがとうございました!
 

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